症例報告
膵胆管合流異常を伴った胆嚢未分化癌の1例
石井 要, 田中 茂弘, 中村 隆, 佐々木 正
厚生連滑川病院外科
症例は42歳の男性で,検診での腹部超音波検査にて胆嚢内に隆起性病変を指摘された.腹部CT検査でも体部中心に不均一にエンハンスされる隆起性病変が認められた.内視鏡的逆行性膵管胆管造影検査では主膵管と総胆管とが2.5cmにわたり共通管をつくる膵胆管合流異常が認められた.総胆管は非拡張型であった.胆嚢内は頸部から体部にかけ陰影欠損像が認められた.腹部血管造影検査では胆嚢腫瘤部から胆嚢床に一致して腫瘍濃染像が認められた.以上より膵胆管合流異常を伴う進行胆嚢癌と診断し,肝S4a+S5+胆摘およびD2郭清術,胆管空腸吻合術が行われた.腫瘍は大きさ3.5×2.5cmの結節型腫瘤であった.病理組織学的には多角形細胞,紡錘形細胞あるいは多核巨細胞から成る異形度の強い未分化癌と診断された.免疫組織学的にはEMA,AE1/AE3,CA19-9,CEAで陽性であったが,vimentin,AFPは陰性であった.
索引用語
gallbladder carcinoma anomalous arrangement of the pancreaticobiliary duct
日消外会誌 34: 1542-1546, 2001
別刷請求先
石井 要 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部付属病院第2外科
受理年月日
2001年6月26日
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