限局性嚢胞状肝内胆管拡張部に発生した肝内胆管腺腫の1例

河村　祐一郎, 高森　啓史, 金光　敬一郎, 辻　龍也, 猪山　賢一^＊, 平岡　武久

熊本大学医学部第1外科, 同　附属病院病理部^＊

　肝内胆管の限局性拡張部に発生した肝内胆管腺腫の1例を報告する．症例は72歳の男性．Computed tomography（CT）で肝内に径3cm大の嚢胞性病変を認め，magnetic resonance imaging（MRI）では嚢胞性病変内部に不整な充実性腫瘍の所見が描出された．術前検査では嚢胞と胆道系の交通は明確ではなかったが，術中超音波検査では限局性に拡張した肝内胆管内に乳頭状腫瘤の所見を認め，胆管内腫瘍であることが判明し，肝部分切除術を施行した．病理診断は肝内胆管腺腫であった．本疾患はまれな疾患であり，しかも限局性の肝内胆管拡張部から発生した肝内胆管腺腫の報告例はなく，肝嚢胞性腫瘍との鑑別が問題であった．肝嚢胞性疾患の診断の場合，本症例の如く限局性の拡張胆管内に発生する肝内胆管腺腫の存在も念頭に置く必要がある．

索引用語
intrahepatic bile duct adenoma, cystic tumor in the liver

別刷請求先
河村　祐一郎　〒860-0811　熊本市本荘1-1-1　熊本大学医学部第1外科

受理年月日
2002年3月27日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です