症例報告
肝転移・腹膜播種病変を伴う空腸原発悪性神経鞘腫の1手術例
矢島 和人, 山本 睦生, 片柳 憲雄, 斎藤 英樹, 藍沢 修
新潟市民病院外科
Von Recklinghausen病(以下,RH病と略記)を伴わない空腸原発の悪性神経鞘腫の1手術例を経験した.
症例は61歳の男性で,心窩部痛を主訴に来院した.精査のため施行した腹部CTにて不均一に造影される腹腔内腫瘤と肝転移を疑わせる病変を認めた.また経口小腸造影,腹部血管造影やシンチグラムの結果,小腸原発の悪性腫瘍が強く疑われ手術を施行した.開腹所見では空腸に直径10cm大の腫瘤および,肝S5,6,8に転移巣と結節状の播種病変を認めた.手術は空腸部分切除および肝右葉切除,播種病変の摘出を行った.病理組織所見ではS100蛋白陽性などの免疫染色の結果から,空腸原発悪性神経鞘腫の診断とした.
RH病を伴わない小腸悪性神経鞘腫は非常にまれで,本邦報告は13例であった.肝転移・腹膜播種病変を同時に合併切除し,2年9か月間と長期の無再発生存が得られた症例は本例のみで,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
malignant schwannoma, small intestine, liver metastasis and peritoneal dissemination
別刷請求先
矢島 和人 〒950-8739 新潟市紫竹山2-6-1 新潟市民病院外科
受理年月日
2002年2月27日
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