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第35巻 第8号 2002年8月 [目次] [全文 ( PDF 110KB)]
症例報告

原発性胃癌と乳癌胃転移が併存した1例

青野 景也, 新實 紀二, 横井 俊平, 久納 孝夫, 前田 敦行

安城更生病院外科

 症例は54歳の女性.右乳癌(solid-tubular type)t2,n1βで胸筋合併乳房切除術を受けていた.術後は化学療法とホルモン療法を施行されていた.術後7年9か月に頸部リンパ節腫大と,胃内視鏡検査で胃角部の3型の病変を指摘された.CT検査では大動脈周囲リンパ節の腫大も同時に指摘された.全身化学療法によってリンパ節腫大は縮小し胃腫瘍も縮小したので胃切除術を施行した.病理検査では粘膜内の高分化型腺癌と,粘膜下に浸潤する初回の乳癌に類似した低分化型腺癌の両方を認めた.また免疫組織染色では,低分化型腺癌と転移のあったリンパ節はestrogen receptorに陽性であった.原発性胃癌と乳癌の胃転移が併存していると診断した.臨床的に乳癌の胃転移が診断され切除された報告は少ない.乳癌手術の既往がある患者では乳癌の転移も念頭に置いて胃病変を検討する必要があると考えられた.

索引用語
gastric metastasis, breast cancer, primary gastric cancer

日消外会誌 35: 1389-1393, 2002

別刷請求先
青野 景也 〒488-8585 尾張旭市平子北61 旭労災病院外科

受理年月日
2002年5月1日

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