症例報告
限局型原発性硬化性胆管炎の1切除例
鈴木 潤, 長島 郁雄, 白鳥 昌利, 小出 泰平, 安達 実樹, 今村 哲夫*, 志賀 淳治*, 冲永 功太
帝京大学医学部外科, 同 病理*
症例は68歳の男性.黄疸を主訴に入院.経皮経肝胆嚢造影にて,総肝管に限局した狭窄像を認めたため,胆管癌を疑い開腹手術を施行した.手術時上部胆管に限局した狭窄部を含めた肝外胆管切除,胆嚢摘出術,肝管空腸吻合術を施行した.病理組織学的に,狭窄部には悪性所見を認めず,胆管周囲の繊維化と著明な慢性炎症浸潤を認め,限局型の原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis;PSC)と診断された.術後8か月を経過した現在,再発の兆候もなく健在である.
過去の文献的考察をふまえ,本症例のような限局型PSCは,びまん型で予後不良な定型的PSCとは,明らかにその臨床像と経過が異なっており,同一疾患として扱うことの妥当性について,今後検討を加えるべきと考えられた.
索引用語
primary sclerosing cholangitis, bile duct cancer, obstructive jaundice
別刷請求先
鈴木 潤 〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1 帝京大学医学部外科
受理年月日
2002年11月27日
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