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第36巻 第4号 2003年4月 [目次] [全文 ( PDF 144KB)]
症例報告

左側腹壁腹膜に原発したsolitary fibrous tumorの1例

若原 正幸, 安江 幸洋, 宮 喜一, 安江 紀裕, 安江 充里, 久野 壽也

安江病院外科

 症例は32歳の女性.下痢を主訴として当院を受診した.注腸検査にて,下行結腸に壁外性の体位で変化する圧排像を認め,同部位に一致して可動性に富む硬い腫瘤を触知した.超音波検査で,左下腹部に約60mm大の充実性腫瘤を認め,CTにて腫瘤と腹壁との弱い結合を認めた.MRIでは,T1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号であった.可動性のある腹腔内腫瘍の診断にて開腹すると,左側腹壁の腹膜より垂れ下がった結節型腫瘤が認められ,表面は血管に富み,周囲の腹膜に増生血管を認めた.摘出標本は60×55×40mm大で,割面は灰白色の充実性腫瘍であった.病理検査では,紡錘形,楕円形の核を有する腫瘍細胞が,膠原線維形成を伴い,種々の密度で増殖し,一部にhemangiopericytoma様の所見も認められた.免疫組織染色では,CD34,vimentinに陽性で,CD31,cytokeratinは陰性であったため,腹膜原発のsolitary fibrous tumorと診断された.

日消外会誌 36: 283-288, 2003

別刷請求先
若原 正幸 〒501-1198 岐阜市川部3-25 岐阜中央病院外科

受理年月日
2002年12月18日

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