症例報告
食道神経鞘腫の1治験例
平沼 知加志, 大村 健二, 川上 和之, 塚山 正市, 吉羽 秀麿, 渡邊 剛
金沢大学心肺・総合外科
食道良性腫瘍のなかでも極めて頻度の低い神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は64歳の女性.風邪症状のため近医受診したところ,胸部X線写真にて縦隔腫瘤を指摘された.胸部CT検査では,中縦隔に腫瘤を認めた.また胸部MRI検査では,同部位にT1強調像にてやや低信号域,T2強調像にて高信号域を呈し,Gdで造影される充実性腫瘍を認めた.EUSにて腫瘍は第4層と連続性を有し,内部エコーはhypoechoicで均一だった.以上より食道平滑筋腫と診断し,完全胸腔鏡下に腫瘍核出術を施行した.腫瘍は3.5×3.0×2.0 cm,灰白色の被膜を有し,割面は均一な黄白色を呈していた.病理組織学的に腫瘍細胞は紡錘形細胞の束状増生,核の柵状配列が認められた.免疫染色ではα-smooth muscle actin陰性で,S-100陽性,NSE弱陽性であり,食道神経鞘腫と診断された.術後は順調であった.
索引用語
esophageal schwannoma, esophageal submucosal tumor
日消外会誌 36: 1487-1492, 2003
別刷請求先
平沼 知加志 〒921-8105 金沢市平和町3-7-3 金沢市立病院外科
受理年月日
2003年5月27日
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