症例報告
胃粘膜下異所腺を合併し術前進行癌と診断された早期胃癌の1例
岡田 慶吾, 菊山 成博, 今津 嘉宏, 大山 廉平, 折笠 英紀*, 山崎 一人*
東京都済生会中央病院外科, 同 病理科*
症例は56歳の男性.検診で指摘された胃の隆起性病変の精査および加療目的にて当科紹介となった.胃体上~中部後壁小彎寄りにIIc様陥凹から広範に広がる粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,生検結果は高分化型腺癌であった.術前診断はIIa+IIc様進行胃癌とし,幽門側胃切除術を施行した.病理学的検索の結果,表層の高分化型管状腺癌(IIc+III,1.5×1.5 cm,sm)とその直下の粘膜下層に2.5×2.5 cm大,厚さ5 mm前後の嚢胞状拡張の目立つ異所腺を認めた.本症は本来胃粘膜固有層内にあるべき胃腺組織が異所性に粘膜下に認められるものであり,発生原因としては後天性炎症説が有力視されている.癌との関連性については諸説があり,更なる症例検討の余地がある.胃粘膜下異所腺が合併した早期胃癌病変であったため,肉眼形態が修飾される形となり,術前進行癌が疑われた1例について若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
submucosal heterotopic gastric glands, early gastric cancer
日消外会誌 36: 1525-1529, 2003
別刷請求先
岡田 慶吾 〒108-0073 東京都港区三田1-4-17 東京都済生会中央病院外科
受理年月日
2003年5月27日
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