症例報告
食道類基底細胞癌4症例と本邦報告60例の予後の検討
吉岡 慎一1)3), 辻仲 利政1), 藤谷 和正1), 河原 邦光2)
国立病院大阪医療センター外科1), 同 病理部2), 大阪大学大学院病態制御外科3)
食道類基底細胞癌は予後不良とされているが,長期生存報告も散見される.自件例4例を含めた,60報告例の集計を行い,予後について検討した.stage IIBまででは,通常食道癌と同様の予後を呈した.一方,stage IIIおよびIVでは,長期生存者は存在しなかった.
症例1は59歳の男性,胸部下部食道の類基底細胞癌症例(pT3,pN0).術後14か月目に肝転移を認め,術後703日目に死亡.
症例2は61歳の男性,胸部下部食道の類基底細胞癌症例(pT1b,pN0).術後31か月現在,無再発生存中である.
症例3は60歳の男性,胸部下部食道に類基底細胞癌(pT1a,pN0)と,胃体上部癌(pT2(ss),pN1)を同時に認めた.術後10か月目に食道癌による肝転移を認め,術後435日目に死亡.
症例4は53歳の男性.腹部食道の類基底細胞癌症例(pT3,pN4).術後7か月現在,無再発生存中である.
索引用語
basaloid cell carcinoma of the esophagus, staging, prognosis
別刷請求先
吉岡 慎一 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 大阪大学大学院病態制御外科
受理年月日
2003年10月29日
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