症例報告
C型肝炎ウィルス消失後に発生した肝細胞癌と肝内胆管癌の重複癌の1切除例
岡本 直子, 寺本 研一, 高松 督, 落合 高徳, 入江 工, 野口 典男, 川村 徹, 有井 滋樹, 猪狩 亨*
東京医科歯科大学肝胆膵外科, 同 病理部*
症例は68歳の男性で,1995年にC型肝炎と診断された.2000年にインターフェロン療法によりC型肝炎ウィルスは消失した.その後もHCV-RNAは陰性であったが,2002年8月に肝S2およびS8に腫瘍を指摘され,肝細胞癌の診断のもと経カテーテル的肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)が行われた.しかし画像上,S2腫瘍は肝内胆管癌を疑い,また同部位のTAEの効果も不十分であったため,外側区域切除およびS8部分切除を行った.切除標本の病理組織学的検索では,S8は肝細胞癌,S2は肝内胆管癌であり,重複癌と診断された.C型肝炎ウィルス消失後同一肝内の異なる場所に発生した肝細胞癌と胆管細胞癌の重複癌はまれなので報告する.
索引用語
hepatocellular carcinoma, cholangiocellular carcinoma, double cancer
日消外会誌 37: 1401-1406, 2004
別刷請求先
岡本 直子 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学外科系診療科
受理年月日
2004年2月25日
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