腹腔鏡補助下に腫瘍摘出術を行った十二指腸脂肪腫の1例―十二指腸脂肪腫本邦報告例109例の検討―

近藤　成, 中井　志郎, 藤本　三喜夫, 山東　敬弘, 宮本　勝也, 坂下　充, 安井　弥^＊

広島記念病院外科, 広島大学大学院医歯薬総合研究科分子病理学^＊

　症例は53歳の女性で，上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚に長径約30 mmの表面平滑でやや黄色調，径20 mm程度の茎を有する隆起性病変を認めた．十二指腸脂肪腫と診断したが，茎の大きさから内視鏡的切除は出血および穿孔のリスクが高いと判断し，腹腔鏡補助下腫瘍摘出術を行った．まず，腹腔鏡下に十二指腸を下大動脈前面まで授動し，傍正中の創を4 cmに延長して十二指腸を腹腔外にまで引き出した．次に，十二指腸壁を小切開し腫瘍を摘出した．病理組織検査にて脂肪腫と診断した．本術式は，十二指腸下行脚から水平脚入口部の良性疾患で，部分切除や腫瘍切除術を必要とする症例には有用であると思われた．また，十二指腸乳頭部癌に対する，経十二指腸的局所切除術に対しても応用可能ではないかと考えられた．

索引用語
duodenal lipoma, laparoscopy-assisted resection, endoscopic polypectomy

別刷請求先
近藤　　成　〒730-0802　広島市中区本川町1-4-3　広島記念病院外科

受理年月日
2004年4月28日

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