症例報告
5-FU,l-LV,CPT-11による肝動注療法が奏効し2期的に肝切除しえた大腸癌多発肝転移の1例
壁島 康郎, 田野 敦子, 亀山 哲章, 戸泉 篤, 田村 洋一郎, 影山 隆久
霞ヶ浦医療センター外科
症例は54歳の男性で,検診で貧血を指摘され当院を受診した.盲腸癌・肝転移(H3(S6,S4,S8,S3,S7))の診断のため入院となった(CEA:95.0 ng/ml).入院時貧血(Hb 8.8 g/dl)を認めたため,原発巣治療目的で回盲部切除術を施行した.Moderately differentiated adenocarcinoma n1(+),se,ly1,v1であった.肝以外に明らかな転移病変を認めず,予後規定因子は肝転移病変と考え,5-fluorouracil(5-FU),levofolinate calcium(l-LV),irinotecan hydrochloride(CPT-11)による肝動注療法を施行した.計6クール動注療法を施行しPR(CEA:10.6 ng/ml)を認め,根治目的に肝切除術を施行しえた.初回手術後14か月の経過において明らかな再発の所見なく,生存中である.動注療法により良好な経過を示した1例を経験したので報告をする.
索引用語
hepatic arterial infusion chemotherapy, colon carcinoma, liver metastasis
日消外会誌 37: 1846-1850, 2004
別刷請求先
壁島 康郎 〒300-8585 土浦市下高津2-7-14 霞ヶ浦医療センター外科
受理年月日
2004年6月30日
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