症例報告
Leser-Trélat徴候により発見された多発胃癌の1例
澤田 成彦, 本田 純子, 長尾 妙子, 清家 純一, 梅本 淳
徳島大学医学部病態制御外科
Leser-Trélat徴候はそう痒感を伴う脂漏性角化症が急速に出現し悪性腫瘍を合併するもの,と定義されている.今回,急速に増大する脂漏性角化症を契機に早期胃癌を認め根治術を得た症例を経験したので報告する.患者は80歳の男性で,頸部から胸部にかけそう痒感を伴い急速に増加する皮疹が出現し,本院皮膚科を受診した.Leser-Trélat徴候を疑い上部消化管内視鏡施行し,早期胃癌と診断し,幽門側胃切除術を施行した.胃の3か所に独立した早期癌が認められた.現在,術後再発は認めていない.数か月以内に急速に増加,増大する脂漏性角化症が認められた場合には本徴候を考慮し,積極的に内臓悪性腫瘍の検索を行うべきである.
索引用語
Leser-Trélat sign, multifocal cancer
別刷請求先
澤田 成彦 〒765-8507 善通寺市仙遊町2-1-1 国立病院機構善通寺病院外科
受理年月日
2004年7月28日
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