症例報告
IgA単独欠損症に合併した若年発症横行結腸癌の1例
村上 昌裕, 大西 直, 加納 寿之, 木村 豊, 岩澤 卓, 東野 健, 中野 芳明, 矢野 浩司, 冨田 尚裕*, 門田 卓士
NTT西日本大阪病院外科, 関西労災病院外科*
症例は31歳の男性で,1995年にIgA欠損症を指摘された.2003年2月左下腹部痛の精査目的で入院し,大腸内視鏡検査にて横行結腸に全周性の狭窄を伴う進行癌を認めた.3月24日横行および下行結腸部分切除術を施行し,病理組織学的に中分化腺癌と診断された.また免疫染色にて正常大腸粘膜内形質細胞のうちIgA陽性細胞が著明に減少,IgGおよびIgM陽性細胞は増加していた.若年発症であることから,マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability)の検索を行った結果,調べた6 Locusすべてで陽性であった.大腸癌の家族歴は無く,遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polyposis colorectal cancer;HNPCC)の新発生である可能性が高いと考えられた.IgA単独欠損症とHNPCCが合併した極めてまれな症例と考えられたので報告する.
索引用語
selective IgA deficiency, juvenile colon cancer, HNPCC
別刷請求先
村上 昌裕 〒543-8922 大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40 NTT西日本大阪病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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