症例報告
肝原発悪性リンパ腫の1切除例―本邦報告27切除例の検討―
甲斐 千晴1)4), 別府 透1), 今村 裕1), 石河 隆敏1), 今井 克憲1), 土居 浩一1), 辛島 龍一1), 池田 公英1)2), 松野 文彦3), 江上 寛1)
熊本大学大学院医学薬学研究部消化器外科1), 同 病理部2), 同 血液内科3), 熊本市立熊本市民病院外科4)
症例は57歳の女性で,主訴は右季肋部痛.CEA,AFPは正常範囲内で,HBs抗原,HCV抗体は陰性.腹部エコーで肝S6に8.3×6.5 cm,S8に1.7×1.5 cmの極めて低エコーな腫瘍を認めた.DIC(drip infusion cholangiography)-CTでは,S8腫瘍内を偏位なく貫通する肝内胆管像が高濃度領域として確認された.針生検診断は未分化癌であった.術前は胆管細胞癌を疑い,肝拡大右葉切除術を施行した.リンパ節転移や脾腫は認められず,肝臓原発の腫瘍であった.病理検査では,リンパ球が腫瘍内をびまん性に占居していた.免疫染色では,CD20陽性であり,肝原発非ホジキンリンパ腫B細胞型と診断された.術後に再発(胸腔)を認めたが,CHOP療法を行い完全寛解に至った.肝原発悪性リンパ腫においては,特徴的な画像を手がかりに本症を疑い,生検標本の免疫染色を行うことが術前の正確な診断につながる.
索引用語
needle biopsy, primary hepatic lymphoma, immunohistochemical staining
別刷請求先
甲斐 千晴 〒862-8505 熊本市湖東1-1-60 熊本市民病院外科
受理年月日
2005年1月26日
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