症例報告
巨大腹腔内デスモイド腫瘍を合併したGardner症候群の1例
齋藤 徹, 滝口 伸浩, 早田 浩明, 浅野 武秀, 永田 松夫, 山本 宏, 渡辺 一男
千葉県がんセンター消化器外科
Gardner症候群に伴う再発性巨大デスモイド腫瘍に対し,病変の広がり,術後quality of life(以下,QOL)の観点から手術を回避すべきと考えた症例に手術を行い,良好な結果を得たので報告する.症例は51歳の女性で,噴門側胃切除術,結腸亜全摘術,3度の腹部腫瘍摘出の既往がある.腹部腫瘤の再発増大で腸閉塞となり入院.手術リスク,大量小腸切除による短腸症候群,術後QOL低下を考慮し摘出術は回避すべきと判断したが,下血によるショックで手術施行した.巨大な腸間膜腫瘍が大量の小腸,右尿管,下大静脈を巻き込んでいた.大量の出血を余儀なくされたが,腫瘍完全摘出により残存小腸は約100 cmとなった.術後は在宅高カロリー輸液併用により短腸症候群の栄養障害に対応したが,4か月後には食事摂取量,下痢のコントロールが良好となり,現在は止痢剤内服で静脈栄養は必要としていない.術後20か月が経過したが,腫瘍再発は認めず良好な術後QOLが得られている.
索引用語
Gardner's syndrome, desmoid tumor, short bowel syndrome
日消外会誌 38: 1485-1489, 2005
別刷請求先
齋藤 徹 〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院臓器制御外科学
受理年月日
2005年3月30日
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