症例報告
肝転移を伴った十二指腸原発gastrointestinal stromal tumorの1切除例
杉原 重哲, 鶴田 豊, 外山 栄一郎, 田中 睦郎, 瀬戸口 美保子*
社会保険下関厚生病院消化器外科, 同 病理部*
肝転移を伴った十二指腸原発gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)に対し,膵頭十二指腸切除術および肝切除を施行した1例を経験した.症例は50歳の女性で,食思不振,腹痛が出現し近医を受診した.貧血を指摘され,精査目的で本院に紹介となった.十二指腸造影,内視鏡検査にて十二指腸下行脚~水平部に腫瘍を認め,腹部CTで十二指腸に10 cm大の腫瘍を,肝S4に7 cm大のlow density massを認めた.肝転移を伴う十二指腸GISTの診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術および肝切除術を行った.切除標本の病理組織学的所見では類円形核を有する紡錘形~多角形細胞が繊維束状ないし充実性に増生していた.免疫組織学的検索ではc-kitが陽性,CD34,vimentin,α-SMA,HHF-35,S-100は陰性で,GIST,combined type,malignantと診断した.肝転移巣に対する肝切除の有効性については,さらに症例の積み重ねが必要であると考えられた.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor, duodenum, liver metastasis
日消外会誌 38: 1561-1566, 2005
別刷請求先
杉原 重哲 〒750-0061 下関市上新地町3-3-8 社会保険下関厚生病院消化器外科
受理年月日
2005年3月30日
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