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第39巻 第3号 2006年3月 [目次] [全文 ( PDF 570KB)]
症例報告

X連鎖性低ガンマグロブリン血症に合併した多発性大腸癌の1例

西口 慶子,小野山 裕彦

大阪府済生会中津病院外科

 症例は31歳の男性で,4歳時より先天性免疫不全症候群と診断されていた.家族歴では,母方の3名の叔父が幼少時に感染症で死亡し,兄にも同疾患が指摘されている.細胞性免疫能は正常であるが,液性免疫能低下のため免疫グロブリン製剤補充にて加療されていた.下血と腹痛のため近医を受診し,大腸内視鏡検査で直腸からS状結腸にかけての3個の癌が診断された.他に5 mm大の3個の腺腫も存在した.手術は低位前方切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査所見では深達度はss,高から中分化型腺癌,n0,stage IIであった.術後は免疫グロブリン製剤の補充療法を追加した.術後4日目にβ-Dグルカンが114.2 pg/mlと上昇したが臨床的には問題なく経過した.家族歴とメチルピロニン染色よりX連鎖性無γグロブリン血症と考えたが,先天性免疫不全症候群に合併する大腸癌は極めてまれであり,興味ある1例を経験したので報告した.

索引用語
congenital immunodeficiency, multipls colorectal cancer, X-linked hypogammaglobulinemia

日消外会誌 39: 401-405, 2006

別刷請求先
小野山 裕彦 〒530-0012 大阪市北区芝田2丁目10-39 大阪府済生会中津病院外科

受理年月日
2005年10月19日

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