症例報告
術後イマチニブが奏功したKIT陰性小腸gastrointestinal stromal tumorの1例
杉江 知治, 松島 由美*, 永井 利博, 大垣 和久
京都警察病院外科, 同 内科*
症例は70歳の男性で,吐下血を来し緊急入院となる.胃,大腸内視鏡検査では出血点を認めず,腹部CTにて腹腔内に多発腫瘍ならびに肝S7にSOLを認め,GIST腹膜播種,肝転移,小腸出血疑いの診断で,開腹手術を施行した.腹腔内に大小多数の充実性腫瘍が腹膜,腸管壁,腸間膜に播種状に広く分布し,Treitz靱帯より約70 cm肛門側には腸管壁外発育を来す腫瘍部位を認めたため,小腸部分切除ならびに腹膜播種巣の可及的切除を行った.病理組織診断ではgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST);CD34+,c-kit-,SMA-,S100-のKIT陰性GISTであったが,術後24日目よりimatinib 400 mgを開始した.投与1週間後のFDG-PETでは,治療前と比較して肝転移巣を含め高濃度集積像は著明に改善しており,投与継続15か月現在,有害事象軽微でSDを維持している.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor, small intestine, imatinib
日消外会誌 39: 1712-1717, 2006
別刷請求先
杉江 知治 〒603-8142 京都市北区小山北上総町14 京都警察病院外科
受理年月日
2006年3月22日
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