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第39巻 第12号 2006年12月 [目次] [全文 ( PDF 2186KB)]
症例報告

胃原発扁平上皮癌の1例―本邦報告例51例の臨床病理学的検討―

沖野 秀宣, 品川 裕治, 廣吉 元正, 島田 和生, 渡辺 次郎, 武田 成彰

独立行政法人国立病院機構小倉病院消化器外科・臨床研究部, 同 病理部

 症例は55歳の男性で,心窩部痛の精査で施行した胃内視鏡検査で胃噴門部小彎側に3型の腫瘍を認め,生検の結果扁平上皮癌と診断され手術を施行した.術後の病理診断は食道粘膜下浸潤を伴う胃原発中分化型扁平上皮癌であった.本邦での胃原発扁平上皮癌報告例51例を集計し臨床的病理学的特徴を検討したところ,男女比は3.3:1で男性に多く,平均年齢は64.5±12.6歳と高齢で,癌の位置は胃上部が24例(47%)を占め,早期癌はわずかに2例(4%)で,通常の胃癌とは異なる特徴を認めた.40例(78%)がss以深まで達し,35例(69%)で転移を認め,stage III以上の進行症例が36例(70%)を占めた.24例(47%)が報告時死亡しており5年生存率は35.6%と予後不良であった.本疾患の病因についてはさまざまな説が提唱されているもののいまだ不明な点が多い.分子生物学的手法を用いた解析が進み病因を明瞭にすることができれば,本疾患に対する治療方針も含め病態の解明につながるものと考えられる.

索引用語
gastric carcinoma, stomach, squamous cell carcinoma

日消外会誌 39: 1803-1810, 2006

別刷請求先
沖野 秀宣 〒802-8533 北九州市小倉南区春ヶ丘10-1 独立行政法人国立病院機構小倉病院消化器外科・臨床研究部

受理年月日
2006年4月26日

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