症例報告
非機能性膵内分泌腫瘍に対し経肝動脈的動注化学療法が著効した肝転移の1例
杉山 眞一, 別府 透, 石河 隆敏, 高橋 将史, 古賀 宣勝, 増田 稔郎, 岡部 和利1), 池田 公英2), 広田 昌彦, 馬場 秀夫
熊本大学大学院医学薬学研究部消化器外科, NTT西日本九州病院外科1), 熊本大学附属病院病理部2)
非機能性膵内分泌腫瘍の多発性肝転移症例に対して経肝動脈的動注化学療法を施行し,著効を得た症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は33歳の女性で,肝腫瘍に対して腫瘍生検が行われ,その後膵腫瘍の存在が認められたことより,膵内分泌腫瘍多発性肝転移の確診に至った.先ず,リピオドールにシスプラチンを混じた懸濁液を用いての肝動脈化学塞栓療法を施行した.その後,UFT-Eの内服を開始した.その結果,肝転移は著明に縮小した.しかし,その後卵巣転移を認め,卵巣摘出術を施行した.その際,抗癌剤感受性検査を行った.その後,腹腔内リンパ節,脳,骨転移,腹膜播種を認めたため,感受性の高かったパクリタキセルを投与したが,病状は進行し,初回治療から約15か月後に永眠された.
索引用語
endocrine tumor of the pancreas, liver metastasis, hepatic arterial chemotherapy
別刷請求先
杉山 眞一 〒861-8520 熊本市長嶺南2-1-1 熊本赤十字病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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