症例報告
虫垂神経鞘腫の1例
佐藤 宏彦, 宮谷 知彦, 森本 慎也, 木下 貴史, 安藤 勤, 長堀 順二
独立行政法人国立病院機構高知病院外科
症例は70歳の女性で,主訴は腹部腫瘤を触知した.右卵巣腫瘍の疑いで開腹術を施行した.術中,虫垂根部より2 cm末梢の部位から周囲との癒着のない8×6×6 cm大の腫瘤を認めた.術中迅速病理検査の結果,gastrointestinal stromal tumor,平滑筋腫あるいは神経鞘腫と診断されたので,虫垂切除術のみとした.病理組織学的検査所見では大小不同のある紡錘形核を持つ腫瘍細胞が不規則に存在していたが,細胞異型や核分裂像は認めず,免疫染色所見ではc-kit陰性,CD-34陰性,S-100蛋白陽性,α-SMA陰性であったことから虫垂良性神経鞘腫と診断された.虫垂神経鞘腫は極めてまれな疾患であり,本邦報告は本症例を含めて6例であった.そのため,治療法,予後に関する一定の見解は定まっていないが,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
neurinoma, appendix
別刷請求先
佐藤 宏彦 〒780-8077 高知市朝倉西町1-2-25 独立行政法人国立病院機構高知病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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