症例報告
化学療法による全身リンパ節転移の消失後,原発巣切除により長期無再発生存している直腸未分化癌の1例
木下 浩一, 金井 陸行, 高林 有道
田附興風会医学研究所北野病院外科
症例は62歳の男性で,検診での便潜血陽性と全身倦怠を主訴に来院した.精査の結果,直腸未分化癌と全身リンパ節転移(左頸部から鎖骨下,縦隔,大動脈周囲)を認めた.初診時の血清CEAは,20.7 ng/mLと高値であった.全身のリンパ節転移を伴う手術不能進行直腸癌(N4:stage IV)の診断下に,CPT-11:80 mg/m2,5-FU:500 mg/m2,l-LV:250 mg/m2を4週投与2週休薬:1クールとして開始した.5クール投与後完全奏効を認め薬剤投与を中止したが,約9か月の無再発期間後に直腸の局所再発を認めたため再度の化学療法後局所切除を行うも,その5か月後に再々発を来した.精査にて遠隔転移を認めなかったため,根治を目的として腹会陰式直腸切断術を施行した.初回化学療法開始後3年6か月を経た現在も明らかな再発の所見なく生存中である.化学療法と手術療法により良好な経過を示した1例を経験したので報告する.
索引用語
neoadjuvant chemotherapy, undifferentiated rectal cancer, systemic lymph node metastasis
別刷請求先
高林 有道 〒530-8480 大阪市北区扇町2-4-20 田附興風会医学研究所北野病院外科
受理年月日
2006年9月27日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|