症例報告
術前化学療法にて腺癌成分が消失した胃原発腺扁平上皮癌の1例
高橋 秀和, 水谷 伸, 西田 俊朗1), 大山 司, 打越 史洋, 吉留 克英, 鳥 正幸, 上島 成幸, 仲原 正明, 辻本 正彦2)
大阪警察病院外科, 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座1), 大阪警察病院病理科2)
症例は74歳の男性で,主訴は全身倦怠感.内視鏡検査で,噴門より胃体下部に及ぶ2型病変を認めた.生検の結果,腺癌と診断したが,一部の検体では扁平上皮癌を認めた.腹部CTで膵臓への直接浸潤ならびにリンパ節#12Pに転移を認めた.Downstagingを目的にTS-1/CDDPによる術前化学療法を3コース施行した.CT画像による効果判定はNCであった.胃全摘,脾摘,膵体尾部切除術を施行.膵への直接浸潤を認めたが,腹膜播種を認めず,Stage IV,根治度はBであった.病理組織学的検査では,扁平上皮癌成分のみ認め,腺癌成分を認めず,腺扁平上皮癌の腺癌成分が術前化学療法により消失したものと考えられた.腺癌成分と扁平上皮癌成分では,化学療法に対する感受性が異なる可能性が示唆された.
索引用語
gastric adenosquamous carcinoma, neoadjuvant chemotherapy
日消外会誌 40: 1485-1489, 2007
別刷請求先
高橋 秀和 〒543-0035 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科
受理年月日
2007年1月31日
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