症例報告
腹膜垂による絞扼性イレウスの1例
千堂 宏義, 西村 透, 中村 吉貴, 金田 邦彦, 和田 隆宏
三田市民病院外科
隣接するS状結腸の腹膜垂どうしがループ状となって絞扼性イレウスを来した極めてまれな1例を経験したので報告する.症例は61歳の男性で,2001年他院で開腹胆嚢摘出術を施行された.2006年11月中旬突然の腹痛にて近医を受診,イレウスの診断で当院緊急入院となった.腹部造影CTにて小腸の拡張を認めたが,腹水は認めなかった.イレウス管を挿入したところ小腸の拡張がみられ,niveauは認めなかった.イレウス管よりの造影検査で拡張腸管の蠕動運動は認めず,造影剤は閉塞部まで流入していかなかった.多量の嘔吐とイレウス管による減圧効果により腹痛は軽減したが,腹部超音波検査で腹水が出現したため,絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹所見では血性腹水を認め,隣接するS状結腸の腹膜垂どうしがループ状となって小腸が絞扼されていた.腸切除は行わず絞扼の解除のみで手術を終了し,術後経過は良好であった.
索引用語
strangulated ileus, appendix epiploica
日消外会誌 40: 1711-1715, 2007
別刷請求先
千堂 宏義 〒669-1321 三田市けやき台3-1-1 三田市民病院外科
受理年月日
2007年3月28日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|