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第40巻 第11号 2007年11月 [目次] [全文 ( PDF 512KB)]
症例報告

術後TS-1療法が奏効した肺転移,腹膜播種を伴う空腸癌の1例

軍司 直人, 五本木 武志, 飯田 浩行, 中井 玲子, 高瀬 靖広, 小形 岳三郎, 折居 和雄

筑波学園病院外科, 同 病理

 症例は65歳の女性で,嘔吐,食欲不振を主訴に来院.腹部CTで小腸壁の限局性肥厚およびその口側小腸の拡張,さらに腹膜播種と考えられる軟部陰影を認めた.小腸造影X線検査によりトライツ靱帯より約1 mに全周性の狭窄を認めた.胸部CT上右下葉,および左上葉に直径13 mmと5 mm大の境界明瞭な2個の結節を認め,転移性腫瘍と考えられた.イレウス症状解除の目的で空腸癌部位の小腸部分切除を施行した.開腹により多数の結節状の腹膜播種を確認した.空腸腫瘍は5×3 cm全周性の隆起性病変で粘液腺癌であった.深達度は漿膜に達していた.術後,TS-1経口投与により化学療法を開始した結果,CT上,肺の転移結節は次第に縮小するとともに腹膜肥厚像も減退した.TS-1療法を2年間継続した現在も経過良好である.小腸癌は発見が遅く予後不良であるといわれているが,今回末期がんであるにもかかわらずTS-1が著効を示した小腸癌症例を経験したので報告する.

索引用語
carcinoma of small intestine, TS-1, chemotherapy

日消外会誌 40: 1839-1844, 2007

別刷請求先
軍司 直人 〒305-0854 つくば市上横場2573-1 筑波学園病院外科

受理年月日
2007年3月28日

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