症例報告
大腸閉塞で発症した膵腺扁平上皮癌の1例
金森 淳, 金井 道夫, 山口 竜三, 濱口 桂, 桐山 宗泰, 佐藤 文哉
春日井市民病院外科
症例は77歳の女性で,2007年1月臍部痛のため近医を受診し,大腸閉塞の診断で当院紹介となった.入院時腹部CTでは膵尾部から脾門部,左腎腹側にかけて腫瘤を認め,注腸造影X線検査では脾彎曲部の完全閉塞を認めたため,横行結腸に双孔式人工肛門を造設した.術後施行した大腸内視鏡下生検では腺癌細胞を認めたが,免疫染色でサイトケラチン(以下,CK)7陽性/CK20陰性と結腸癌の染色パターンを呈さなかった.以上から,下行結腸浸潤を伴う膵尾部癌と診断し,2月に膵体尾部脾切除,左半結腸切除,左腎摘出,胃・横隔膜部分切除術を施行した.病理組織学的検査所見では腺扁平上皮癌の像を呈し,膵および脾被膜下,腎門部,結腸漿筋層への浸潤を認めた.術後13か月の現在,無再発生存中である.大腸閉塞で発症した膵腺扁平上皮癌は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
adenosquamous cell carcinoma of the pancreas, colonic obstruction
日消外会誌 41: 1960-1965, 2008
別刷請求先
金森 淳 〒486-8510 春日井市鷹来町1-1-1 春日井市民病院外科
受理年月日
2008年4月23日
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