症例報告
B型肝炎ウィルス感染を伴った肝脾悪性リンパ腫の1切除例
柴田 亮輔, 川元 俊二, 稲田 一雄, 金丸 隆幸, 児玉 亘弘*, 廣田 一隆*, 吉田 尊久**
福岡徳洲会病院外科, 同 内科*, 同 病理**
症例は55歳の女性で,腹部CTにて肝臓と脾臓に限局する腫瘤を認めたため,当院を受診した.表在リンパ節を触知せず,血液検査所見でLDH 711 IU/l,HBsAg陽性,IL-2R抗体748 U/mlと高値を示した.肝生検と免疫特殊染色でB細胞性悪性リンパ腫と診断された.他検査で他臓器に病変を認めなかった.肝臓,脾臓ともに腫瘍破裂の危険性があり,切除を先行させ術後化学療法を施行する方針とし,肝外側区域切除術,脾臓摘出術を施行した.術後,tetrahydropyranyl adriamycin-cyclophosphamide,vincristine and prednisolone therapy(THP-COP療法)を3コース行い,現在無再発生存中である.また,HBV carrierであったため術後ラミブジンを投与している.肝脾悪性リンパ腫は非常にまれな疾患であり,我々が検索しえたかぎりでは切除例は自験例のみであった.若干の文献的検索を含め報告する.
索引用語
malignant lymphoma, liver and spleen, Hepatitis B
別刷請求先
柴田 亮輔 〒816-0864 春日市須玖北4丁目5 福岡徳洲会病院外科
受理年月日
2008年7月23日
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