症例報告
経過観察中に形態変化を来した脾臓原発血管肉腫の1例
赤堀 宇広, 庄 雅之, 鶴井 裕和, 大住 周司, 田村 智美*, 堤 雅弘**, 野々村 昭孝*, 中島 祥介
奈良県立医科大学消化器・総合外科, 同 病理診断学*, 済生会中和病院臨床病理科**
脾臓原発血管肉腫はしばしば急速な発育傾向を示し,転移を来しやすく,極めて予後不良な疾患とされている.今回,我々は脾血管腫として約3年半の経過観察の後に切除術を施行し,血管肉腫と病理組織学的診断された1例を経験したので報告する.症例は77歳の男性で,解離性大動脈瘤を指摘された際,径6 cmの脾腫瘍を指摘され,血管腫と診断されていた.その後,経過観察中に腫瘍径の増大と腫瘍内部の形態変化を認めたため,手術を施行し,血管肉腫と診断された.術後経過良好であり,現在まで55か月経過し無再発生存中である.本症例のように経過観察された後に切除された脾臓血管肉腫は,本邦にて検索しうるかぎり,初めての報告である.脾臓原発血管肉腫の自然史を考えるうえで貴重な症例と思われた.
索引用語
spleen, angiosarcoma, natural history
別刷請求先
赤堀 宇広 〒634-8522 橿原市四条町840 奈良県立医科大学消化器・総合外科
受理年月日
2008年7月23日
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