症例報告
肝細胞癌陽子線治療後に発症した難治性放射線腸炎の1例
宮本 良一, 山本 雅由, 明石 義正, 柳澤 和彦, 菅原 信二*, 大河内 信弘
筑波大学消化器外科, 同 放射線科*
肝細胞癌の放射線治療は,局所療法の一つである.しかし,周囲の臓器への放射線障害に対する注意が必要である.近年,その中で良好な線量分布特性をもつ陽子線治療が肝細胞癌治療にも利用され,良好な成績を修めており,副作用の報告例も少ない.今回,我々は肝細胞癌への陽子線治療で,放射線腸炎を来し手術を必要とした1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性で,肝S8の肝細胞癌に対して,肝動脈塞栓療法を計5回施行された.徐々に副作用増強したため,陽子線治療へと変更となった.照射半年後より貧血を認め,さらに2か月後に下血が出現し,当院緊急入院となった.精査の結果,放射線腸炎との診断で,結腸切除術施行となった.術後経過は良好で,肝細胞癌の新規病変への陽子線治療を施行され,外来にて経過観察中である.
索引用語
radiation enteritis, proton therapy, surgery
別刷請求先
山本 雅由 〒305-8575 つくば市天王台1-1-1 筑波大学消化器外科
受理年月日
2009年5月27日
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