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第43巻 第6号 2010年6月 [目次] [全文 ( PDF 827KB)]
症例報告

長期生存が得られたKrukenberg腫瘍合併Meckel憩室癌の1例

石上 俊一, 矢澤 武史2), 大江 秀明, 北口 和彦, 浦 克明, 平良 薫, 吉川 明, 田村 淳, 馬場 信雄, 白瀬 智之1)

大津赤十字病院外科部, 同 病理部1), 信楽中央病院外科2)

 患者は69歳の女性で,2004年11月の卵巣腫瘍摘出術の際に,回腸末端から約70 cmの腸間膜対側に充実性腫瘍を伴う径2 cmのMeckel憩室を指摘された.右卵巣腫瘍,憩室腫瘍とも中分化型腺癌であり,いずれも免疫組織学的検査でサイトケラチン(以下,CK)7(-),CK 20(+)であることから,Meckel憩室癌の卵巣転移と診断された.ムチンコア蛋白(以下,MUC)の免疫組織染色でMUC 1(+),MUC 5AC(+)であったがMUC 2の発現がみられず,迷入した異所性組織が癌化したものと考えられた.腹水細胞診陽性であり,術後TS-1/cisplatin(以下,CDDP)併用療法を施行した.腹膜再発があるが,患者は初回手術から4年半を経過した現在も生存中である.Meckel憩室に発生した腺癌の文献報告は,1950年以降 国内外で46件あるが,卵巣転移合併症例はなかった.本例はMeckel憩室の異所性胃癌であった可能性が高く,抗癌剤治療が奏効し長期生存が得られたと推察された.

索引用語
Meckel's diverticulum, Krukenberg's tumor, chemotherapy

日消外会誌 43: 654-660, 2010

別刷請求先
石上 俊一 〒520-8511 大津市長等1-1-35 大津赤十字病院外科部

受理年月日
2009年9月16日

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