肝細胞がん

肝臓について

肝臓は赤褐色調,腹腔内で最大の臓器です(1,000から1,500g).解剖学的には,肝鎌状間膜を境に左葉・右葉に分かれます(図1).
実際の臨床では,Cantlie(カントリー)線(胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ線)を境に左葉と右葉の二葉に分けます(図2).左葉と右葉はさらに区域,亜区域というものに分かれます.

図1 図2
肝臓 図1
肝臓 図2

図3のように外側区域・内側区域,および前区域・後区域,さらに,外側区域,前区域,後区域を上下に分け,それらと内側区域,尾状葉を合わせ8つの亜区域(S1~8)に分かれます(図4a, 4b).肝臓に注ぐ血管は門脈と肝動脈で,肝臓はこれらの二つの血管の二重支配を受けます.

図3 図4a 図4b
肝臓 図3
肝臓 図4a
肝臓 図4b

肝細胞がん

肝細胞がんに対する肝切除には,切除範囲により以下のような術式があります.
これらは腫瘍の大きさ,数と肝機能(肝予備能)を考えて決定されます.

 

核出術:腫瘍のみ切除します.
部分切除:腫瘍の辺縁より1cmはなして切除します.

亜区域切除:腫瘍の存在する亜区域を切除します.

区域切除:腫瘍の存在する区域を切除します.

葉切除:腫瘍の存在する右葉,または左葉を切除します.
拡大葉切除:右葉,または左葉よりも大きく切除します.

生体肝移植手術

生体肝移植手術も適応があれば行われます(肝臓の左葉を移植したところ).