原著
食道原発腺扁平上皮癌11例の臨床病理学的検討
根津 邦基, 加藤 抱一, 日月 裕司, 渡辺 寛, 板橋 正幸1), 廣田 映五1), 山内 ゆう子1), 山口 肇2)
国立がんセンター病院外科, 同 研究所病理1), 同 内科2)
食道原発腺扁平上皮癌の11例について臨床的および病理学的検討を行いその特徴について明らかにした.腺癌構成成分の組織型は11例中腺管形成型が10例,印環細胞型(mucoepidermoid carcinoma)が1例であった.腺癌と扁平上皮癌の構成成分の組織分布は混合型10例,衝突型1例であった.11例中7例が早期癌であった.内視鏡型分類でelevated typeが11例中7例と多数を占め,早期発見に寄与したと思われる.11例中血行性転移を認めたものは2例,リンパ節転移を認めたもの4例であった.11例の5年生存率は36.5%であり根治的外科手術を行うことにより,通常の扁平上皮癌よりも良好な予後が期待できると考えられた.
索引用語
adenosquamous carcinoma of the esophagus, adenoacanthoma
別刷請求先
根津 邦基 〒634 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第3外科
受理年月日
1990年9月12日
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