原著
小腸近位側広範囲切除術後の胃酸分泌動態に関する実験的研究
原田 雅光, 和田 大助, 河崎 秀樹, 古味 信彦
徳島大学医学部第1外科学教室
小腸近位側2/3切除術後の胃酸分泌動態を分泌促進系因子面から検討するため,実験犬を用い酸分泌能,右胃大網静脈(RGEV)血漿ガストリン値とヒスタミン値,幽門洞G細胞数,壁細胞数を経時的に測定した.1)術後3~4週:BAO,MAO(mEq/h),壁細胞数(個/0.2 mm幅垂直切片柱)はそれぞれ48.5%,28.2%,16.4%増加し,RGEV血漿ガストリン値(pg/ml),ヒスタミン値(nM),G細胞数(個/mm幅垂直切片柱)はそれぞれ57.8%,32.2%,10.9%減少した.2)術後11~12週:BAOは術前値にほぼ回復したが,MAOは減少傾向を示すものの高値を持続した.RGEV血漿ガストリン値とヒスタミン値は増加し術前値に回復する傾向を示した.壁細胞数はやや減少したのに対しG細胞数は増加した.以上から,術後の胃酸分泌能の亢進は壁細胞数の増加と機能亢進が直接関与しており,RGEV血漿ガストリンおよびヒスタミンの変動は,酸分泌量の増減に伴うfeedback作用の結果であると考えられた.
索引用語
massive small bowel resection, plasma gastrin, plasma histamine, G cell population, parietal cell population
別刷請求先
原田 雅光 〒770 徳島市蔵本町3-18-15 徳島大学医学部第1外科
受理年月日
1991年12月10日
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