原著
オリーブオイルエマルジョン注腸を併用した経肛門的超音波検査法による旁直腸リンパ節転移診断能改善の試み
牛谷 義秀, 望月 英隆, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
直腸癌に対する適切な術式選択のためにはリンパ節転移の正確な診断が重要である.今回,オリーブオイルエマルジョン注腸(emulsified olive oil enema:OE)併用経肛門的超音波検査法を直腸癌66例に施行し,旁直腸リンパ節転移診断能改善への有効性につき検討した.その結果,OE併用法では旁直腸リンパ節の描出率は73%,描出個数は1.3個/症例であり,リンパ節転移診断能においてもaccu-racy88%,sensitivity 92%となり,OEを用いない従来法の描出率39%,描出個数0.4個/症例,accu-racy 70%,sensitivity 60%と比較していずれも著しく改善された.また従来法では描出されずOE併用法によりはじめてリンパ節が描出された21例中,10例48%で組織学的にリンパ節転移が確認された.逆に,OE併用法でも描出されなかった18症例では,組織学的にも全例転移陰性であった.以上から,OE併用法により旁直腸リンパ節転移診断能に著明な向上が認められた.
索引用語
endorectal ultrasonography, emulsified olive oil enema, perirectal lymph node metastasis
日消外会誌 25: 1036-1040, 1992
別刷請求先
牛谷 義秀 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1991年12月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|