原著
胃平滑筋原性腫瘍の臨床病理学的ならびにフローサイトメトリーによるDNA量の検討
船坂 真里, 中村 毅, 多淵 芳樹*, 多田 康之, 森下 透, 河村 史朗, 加藤 道男, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科, *同 医療技術短期大学部
胃平滑筋原性腫瘍切除18例(筋腫8例・肉腫10例)について,臨床病理学的ならびにflow cytometry(FCM)によりDNAパターンを検討した.肉腫の腫瘍径10.3±2.2 cmは筋腫の4.9±0.88 cmより有意(p<0.01)に大きく,肉腫の原疾患による死亡症例では腫瘍径と生存期間との間に負の相関Y=23.3-0.35X(r=-0.907,p<0.01)が認められた.肉腫の核分裂数(核分裂数/400倍率の100視野)49.3±23.3は筋腫の2.6±1.1よりも有意に(p<0.05)多かった.肉腫6例と筋腫5例のパラフィン包埋切片を用いてのDNAの測定では,筋腫全例と1例の肉腫はdiploidパターンを示し腫瘍死例はなかったが,5例の肉腫はaneuploidパターン(平均DI=1.72)を示し,このうち再発ないし再燃で4例が死亡した.以上の成績より,腫瘍径・核分裂数とFCMによるDNAパターン解析は筋原性腫瘍の良悪性の判定や治療方針の決定ならびに予後の予測に有用であると考えられる.
索引用語
gastric leiomyomatous tumor, mitosis, cellularity, nuclear DNA ploidy pattern, flow cytometory
日消外会誌 25: 1937-1941, 1992
別刷請求先
船坂 真里 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1992年2月12日
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