症例報告
十二指腸神経線維腫により膵炎を併発したvon Recklinghausen病の1例
吉田 良, 浜田 吉則, 高田 秀穂, 加藤 泰規, 森 毅, 古形 宗久, 中根 恭司, 日置 紘士郎
関西医科大学第2外科学教室
von Recklinghausen病(以下,RHDと略記)は皮膚や末梢神経に発生する神経線維腫やcafe'au laitspotsと呼ばれる皮膚の色素斑を特徴とする常染色体優性遺伝の疾患であり,種々の非上皮性腫瘍を合併することが知られている.今回,我々は十二指腸神経線維腫により膵炎を併発したRHDの1例を経験したので本邦第1例目として報告する.症例は59歳の男性で,重症膵炎と診断され入院加療となった.膵炎軽快後のコンピュータ断層撮影,核磁気共鳴画像で膵頭部に腫瘍像を認め内視鏡的逆行性胆管膵管造影で膵管,下部胆管の圧排像があり,血管造影では膵頭部に一致した新生血管の増生を認めた.以上の所見により膵炎の原因として膵頭部腫瘍が考えられた.術中生検にて良性腫瘍と診断し幽門輪温存膵島十二指腸切除術を施行した.組織学的に本症例は十二指腸より発生した神経線維腫が膵実質内に進展したため膵炎を併発したと考えられた.
索引用語
duodenal neurofibroma, von Recklinghausen's disease, pancreatitis
日消外会誌 29: 1055-1058, 1996
別刷請求先
吉田 良 〒570 守口市文園町10-15 関西医科大学第2外科学教室
受理年月日
1995年12月6日
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