症例報告
34年の経過をとった異時性胃(4多発)大腸(3多発)重複癌の1例
近藤 竜一, 清水 忠博, 久米田 茂喜, 岩浅 武彦, 堀 利雄
国立松本病院外科
症例は66歳の男性で,32歳時に盲腸癌にて回盲部切除術,55歳時に胃癌・肝浸潤にて幽門側胃切除術・肝部分切除術,59歳時に胆石症にて胆嚢摘出術,同年直腸癌にて低位前方切除術,62歳時に横行結腸癌にて結腸左半切除術・胃空腸輸出脚切除術,65歳時に残胃進行癌にて吻合部残胃部分切除術,横行結腸・空腸合併切除術を施行している.今回は定期外来通院中に貧血および便潜血陽性を認め,胃内視鏡検査を行ったところ残胃の小彎および前壁にBorrmann 2型様病変を認め,残胃全摘脾合併切除術を施行した.最近,多発癌・重複癌の報告が増えているが,重複した多発6癌巣以上のものはまれである.多発7癌巣のうち6つが進行癌で定期検診のあり方を考えさせられる一方,34年間以上の長期生存しえたのは局所所見に比ベリンパ節転移が軽度で,腹膜播種・肝転移を認めなかったためと思われた.
索引用語
multiple primary cancers, colorectal cancer, gastric cancer
日消外会誌 30: 2009-2013, 1997
別刷請求先
近藤 竜一 〒399 松本市芳川村井1209 国立松本病院外科
受理年月日
1997年5月21日
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