原著
食道癌手術におけるムピロシン軟膏の有用性
田仲 曜, 島田 英雄, 千野 修, 西 隆之, 大芝 玄, 木勢 佳史, 姫野 信治, 釼持 孝弘, 田島 知郎, 幕内 博康
東海大学外科
ムピロシン軟膏の使用で食道癌術後のMRSA感染症が減少するかを検討した.食道癌手術予定の患者54例全例にムピロシン軟膏を使用した.術前に1日3回,3日間鼻前庭部に左右それぞれ30mgずつ塗布した.Historical controlとしてそれ以前の症例47例を対照とし比較検討した.対照群では47例中9例(19.1%)にMRSAが検出された.ムピロシン使用群では54例中2例(3.7%)にMRSAが検出され,MRSA感染症はそのうちの1例(1.85%)であった.培養された菌の中で最も多かったのは両群とも緑膿菌であった.食道癌手術に対しムピロシン軟膏を使用することでMRSA感染は減少させることが可能である.食道癌手術に対するムピロシンの投与は非常に有用であると考えられた.
索引用語
methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), esophageal cancer, perioperative period, Mupirocin
別刷請求先
田仲 曜 〒259-1193 伊勢原市望星台 東海大学医学部外科学教室
受理年月日
2000年2月23日
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