原著
幽門側普通切除時の幽門輪温存意義について ―経皮的胃電気活動記録と排出能からの検討―
平岡 敬正, 佐治 重豊, 国枝 克行, 安江 紀裕
岐阜大学医学部第2外科
幽門側を普通切除した stage Ia 胃癌症例中,再建を Billroth I 法で施行した15例(BI 群)と幽門輪を温存した15例(PPG 群)を対象に,術後1か月と6か月以上経過時に経皮的胃電気活動記録(EGG)による残胃運動機能とアセトアミノフェンによる胃排出能などを検査し,幽門輪温存意義を検討した. 結果:(1)EGG 波形は術後1か月目には全例陰性であったが,6か月目にはPPG群で全例,BI 群で1例に回復がみられた.(2)胃排出能は BI 群では墜落型を示したが,PPG 群では健常対照群(10例)に近似した波形を示した.(3)上部消化管造影検査,内視鏡検査などで,PPG 群には胃の蠕動波がみられたが,食物残は BI 群より多く観察された. 以上の結果,残胃運動機能と排出能などから,幽門側普通切除群での幽門輪温存意義が確認された.
索引用語
gastric cancer, motility of the remnant stomach, electrogastrography, gastric emptying, distal gastrectomy
別刷請求先
平岡 敬正 〒500-8705 岐阜市司町40 岐阜大学第2外科
受理年月日
2001年1月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|