症例報告
肛門周囲 pagetoid spread を伴った肛門管癌の1例
伊原 文恵, 上田 一夫*, 城原 直樹*, 野中 博子, 秋間 道夫, 柴 忠明*
東邦大学第1病理, 同 第2外科*
症例は68歳の男性.排便時出血にて近医を受診,肛門管癌と診断され当院に紹介受診となった.腫瘍は肛門周囲皮膚に白色変色域を伴っていたが,患者の希望で経肛門的腫瘍摘出術のみを施行した.歯状線上に長径2cm の隆起性腫瘤を認め,組織学的に粘液癌であった.肛門粘膜上皮内 pagetoid spread を認め断端陽性のため,後日腹会陰式直腸切除術施行した.肛門周囲皮膚の広範な pagetoid spread を伴い,粘液癌部は肛門腺との関連は不明であった.粘液癌とは非連続性に直腸高分化型の粘膜内腺癌の存在を認めた. 肛門管癌に合併する肛門周囲 pagetoid spread は比較的まれな病態であり,本邦では文献上自験例を含め30例の報告をみるのみであり,さらに直腸に粘膜内癌を合併した点でまれと考えられた.
索引用語
anal canal cancer, pagetoid spread
別刷請求先
伊原 文恵 〒143-8540 東京都大田区大森西5-21-16 東邦大学医学部第1病理学教室
受理年月日
2001年1月31日
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