症例報告
大網原発巨大gastrointestinal stromal tumorの1切除例
島田 和典, 小川 法次, 水谷 伸, 田中 靖士
市立芦屋病院外科
症例は78歳の男性.半年前より腹部腫瘤を自覚するようになり,腹部膨満と呼吸困難のため2001年8月31日当院入院となった.腹部全体に巨大な腫瘤を触知し,臍は壊死していた.腹部造影CTでは径30×25 cmの巨大腫瘍が腹部全体を占居し,不均一に造影される充実成分とその内部には巨大な嚢胞形成を認めた.原発臓器は不明であったが,遠隔転移を認めず開腹術を施行した.腫瘍は大網に存在し,周囲臓器への浸潤はなかった.切除した腫瘍は30×25×10 cmで,重量は3,854 gであった.病理組織所見ではspindleおよびepithelioidな細胞が不規則に束状増殖し,核分裂は400倍率10視野で4~5個認められた.免疫組織学的にはc-kit陽性,CD 34弱陽性であり,大網原発のgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.術後11か月経過した現在,再発の兆候なく生存中である.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor of the greater omentum, giant tumor, c-kit
日消外会誌 36: 1210-1215, 2003
別刷請求先
島田 和典 〒791-0281 愛媛県温泉郡重信町横河原366 国立療養所愛媛病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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