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男女共同参画委員会について

委員会活動理念

はじめに(2022年9月より男女共同参画委員会に改称)

 日本消化器外科学会の男女共同参画ワーキング・グループ(以下、男女共同参画WG)は2021年9月に東京大学野村幸世先生を委員長として8名の委員を指名して設立されました。現在、北川雄光理事長を始めとした役員・会員の理解と協力により活動を進めています。学会運営に女性の意見を反映させ、学会活動を活発化させること、女性消化器外科医の経験する様々なライフイベントと消化器外科医としてのキャリアの両立を支援すること、その結果一人でも多くの女性消化器外科医に活躍の場を拓くことで日本の消化器外科の健全な発展を目指すことを本WGのミッションと考えています。

日本消化器外科学会における女性会員数の状況

 日本消化器外科学会の会員数は19,603名、うち女性会員は1,342名で会員数の7%です(2020年9月現在)。女性会員数は毎年増加傾向にあり、2015年の1,123名から2020年には1,342名と約20%増加しました(図1)。医師全体における女性医師の比率は増加しており、今後もこの傾向は続くものと考えます。また、女性会員の年齢別の割合をみると、60歳以上では女性会員の割合は0.9%に過ぎませんが、年齢が若くなるにつれその比率は増加しており、30歳未満では20.2%を占めています(図2)。したがって、本学会には40歳未満の様々なライフイベントを経験する年代の女性会員が多く所属しており、特に若手の女性消化器外科医への支援が重要であることがわかります。

図1. 日本消化器外科学会の女性会員数の推移
図1. 日本消化器外科学会の女性会員数の推移

図2. 日本消化器外科学会の女性会員の年齢別分布
図2. 日本消化器外科学会の女性会員の年齢別分布

日本消化器外科学会のポジティブ・アクション

 学会運営に女性の意見を反映することは重要です。特に指導的な立場に女性についていただくことで、女性の意見を反映しやすくなります。ポジティブ・アクションは、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置と定義されています1)。野村幸世委員長のご発案で、男女共同参画委員会ではまずポジティブ・アクションに取り組んでいます。当学会のポジティブ・アクションは女性評議員の増加、女性会員の委員か活動への参加、女性理事の誕生を目指しています。

  1. 女性評議員数の増加
     日本消化器外科学会の350名の評議員のうち、女性は2015年以前は2名、2015年には4名、2020年には10名と漸増しているものの、この数は女性の意見を反映するためには十分とは言えません。そこで男女共同参画委員会では女性会員の比率に見合う女性評議員枠を設けることを提案しました。現会員数から試算すれば、350名×7%=24名程度の女性評議員枠が設定されることとなります。この女性枠は従来の選考に加えて新たに設定されます。従って、この評議員の女性枠の新設により、従来の評議員枠が減少するわけではないことを会員の皆様にはご理解をいただきたいと思います。北川雄光理事長の強力なリーダーシップによって2025年の評議員一斉改選に合わせて実現することが決定しています。
  2. 各種委員会への女性の参加
     本委員会からは学会運営に女性の意見を反映するために本学会の委員会に女性会員に加わっていただくことを提案し、このことは北川雄光理事長のトップダウンの決断によって実現する方向です。
  3. 女性理事の誕生
     日本消化器外科学会における理事数は14名で長らく固定されてきました。しかしながら、現在日本消化器外科学会における委員会活動は活発化・多様化しており、理事一人当たりの仕事量は激増しています。そこで北川雄光理事長は次回の理事改選から2年かけて理事数が18名まで増員することを理事会や評議員会に提案され、承認されました。日本消化器外科学会の50年を超える歴史の中で、女性理事は誕生していません。この理事全体の増員に合わせて新たに女性の理事2名に加わっていただくことを計画しています。このように日本消化器外科学会のポジティブ・アクションは男女共同参画委員会が具体的な数値目標を設定し、理事長のトップダウンの決断にて急速に進展しつつあることをご報告いたします。女性評議員数が飛躍的に増加し委員会活動にも加わっていただき、女性理事が誕生することで日本消化器外科学会の運営に女性の意見が反映され、様々な改革に結び付くことを期待されます。

男女共同参画WGによるアンケート調査の実施

 2021年8月末日を締切りに、男女共同参画WGでは日本消化器外科学会専門医制度修練施設1,138病院に対するアンケートを実施しています。このアンケート調査は本WG委員の大越香江先生(日本バブテスト病院)を中心に作成されました。項目は男女共同参画の取組、男女共同参画の教育体制、基本的な労働条件の整備からなっています。回答者は修練施設の指導責任者及び担当事務となっており、病院や施設全体と消化器外科という診療科の格差を見ることができる構成になっています。この調査によって、本邦の男女共同参画に関する消化器外科の現状や、各施設の取組が明らかになるものと期待しています。男女共同参画が進まない大きな要因のひとつは男女を問わない「働き方」の問題でもあります。女性の社会進出は男性の理解や協力はもちろん男性自身の働き方への意識変革がなければ果たすことはできません。それには男性の「働き方」の意識を変えていく必要があるとWGでは考えています。このアンケートはその点についても触れられており指導責任者にはアンケートの内容を検討していただき、これらの項目のうち一つでも多くがそれぞれの修練施設で達成されることを願っております。

 専門医制度

  1. 日本消化器外科学会専門医制度改革の影響
     今回、日本消化器外科学会では専門医制度の改革が行われました。専門医取得に必要な経験症例数が削減され、改革前には平均取得年齢が39歳であったものが、改革後34歳で取得できると試算されています。制度上は最低31歳で取得可能となりました。このことは女性にとっても極めて重要です。すなわち、ライフイベントに伴う女性の離職率は35歳がピークでその形状からM字カーブといわれています。もし、34歳以前に日本消化器外科学会が取得できるのであれば、ライフイベントの前に専門医取得が可能となる道を開いたことになります。女性消化器外科医がライフイベントに際して一旦離職したとしてもそれ以前に消化器外科専門医を取得していれば復職を考える上でポジティブに作用する可能性があると思います。
  2. 専門医更新におけるe-ラーニング
     また、専門医の更新に関しては本委員会から2点の提案をしているところです。一つは日本消化器外科学会の専門医更新に必須となっているe-ラーニングの総論の項目に男女共同参画の話題を加えていただくことです。日本消化器外科学会の専門医の更新には学会が指定するe-ラーニングの受講が必要です。現在、委員会では男女共同参画への理解を深めるために男女共同参画の内容を含んだe-ラーニングのコンテンツの履修を必修要件とすることを検討しています。男女共同参画はすべての会員の理解と協力があって推進されます。e-ラーニング受講を通じて男女共同参画に関する問題や提言を共有していただくことで、消化器外科医の意識を少しでも変えていくことができるのではないかと考えます。
  3. 更新延長期間における猶予期間中の機構認定専門医の資格留保について
     日本専門医機構の補足説明によれば妊娠・出産・育児などのライフイベントのために専門医の更新が困難な場合は、所定の更新申請の年に、申請により更新延長を行うことができるとあります。しかしながら、猶予期間中は各基本領域学会専門医とし、機構認定専門医とはならないとされています。したがって、更新猶予期間には消化器外科学会専門医を名乗ることはできず、外科専門医ということになります。このことはライフイベントと消化器外科医としてのキャリアの両立を目指している、最も支援を必要とする外科医にとってポジティブなメッセージとはならないと思います。このことは日本専門医機構における制度設計の問題でありますので、猶予期間中であっても機構認定専門医のまま留まれるよう現在専門医機構に申し入れ中です。

総会への要望

 日本消化器外科学会総会への参加は会員にとって重要な学びの場です。委員会からは総会開催方法や内容に関して多くの要望があげられています。新型コロナ感染症の感染拡大は学会のオンライン化を促進しました。このことは学会への現地参加が難しい女性会員に新たな学会参加の機会を提供することになりました。今後とも,WEB参加での学会参加や単位取得の継続を認めてほしい,学習のためのオンデマンドも継続してほしいという要望があります。また、女性の座長を増やすべきといった意見や総会でも女性外科医に関する上級セッションを必須としてほしいなどの意見を提案していきます。また、子供連れでも学会に参加しやすい方法に関しても提案をしていきます。

おわりに

 このように本学会の男女共同参画の活動は開始されたばかりです。委員会の提案に基づき北川雄光理事長の強力なリーダーシップと各理事のご協力によって推進されています。幅広い皆様のご意見を募集しております。

参考文献

  1. ポジティブ・アクション | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
  2. 調 憲、野村幸世、北川雄光.FOCUS:消化器外科領域におけるdiversityの展望―日本消化器外科学会の展望.臨床外科 2021: 印刷中
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