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消化器外科医の働き方

大学病院勤務
調 憲 先生

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調 憲 先生
大学病院勤務
調 憲 先生
1986年卒
卒後36年
(2022年時点)

 私は肝胆膵外科を専門とし、大学病院に勤務しています。ストレート研修で卒後外科教室に入局し、1年目から外科医としてのトレーニングを受けました。常にベッドサイドにあり、患者を診よという教育を徹底的に受けました。今でも土日も含め、朝夕の回診を行うことが習慣になっています。卒後4年目にはアメリカに留学し、妻とは留学前に結婚しました。研究留学でしたので振り返ってみれば留学の1年間が一番家庭にいたようにも思います。帰国後暫くは妻から「今度はいつ留学するの?」と言われていました。子供は3人の男の子に恵まれましたが、育児・教育は妻に任せっきりでしたし、若い頃は外勤にも行きにくい状況があり、経済的にも大変苦労を掛けました。患者が急変すれば私の「気になる患者さんがいるから」の一言で家庭の行事もキャンセルすることもよくありました。妻は一言も文句を言わず「お父さんを患者さんが必要としているから」と子供たちをなだめてくれていたことを思い出し、今はただ感謝のみです。

 自分が生きてきた時代には全てを犠牲にしても仕事に生涯をささげる職業人としての生き方が肯定的にとらえられていたと思いますが、若手の先生方は良き職業人、社会人そして家庭人であることを求められていると感じます。時代は変わりました。社会全体の価値観が変わったと感じます。私自身は今までの生き方を否定するつもりもありませんし、人生の繰り返しができても同じように生きるかもしれないと思います。また、私自身60歳を超えて自らの価値観を見直すことは簡単ではなく苦痛を伴いますが、同じことを次世代に要求したり、強要することはできないと感じています。それぞれの生き方の価値を認め、様々なライフイベントやライフステージでお互いが助け合い、支えあう温かい仲間の大切さを感じることの大切さを認識し、その結果一人ひとりが豊かな、実りある外科医としての人生が送れるよう支援をしていくこと、それが私の次の世代へ渡せるバトンなのだと信じていきます。

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