一般社団法人 日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery一般社団法人 日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
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理事長挨拶

理事長 齋浦 明夫

齋浦 明夫(順天堂大学医学部附属順天堂医院肝・胆・膵外科)

一般社団法人日本消化器外科学会は,1968年の創立以来,「消化器外科学の進歩と普及」という普遍の理念を掲げ,先人たちの並々ならぬご尽力と積み重ねられた伝統によって確固たる発展を遂げてまいりました.
このたび,歴史ある本学会の理事長という重責を担うこととなり,身の引き締まる思いを深くしております.これまで卓越したリーダーシップで本学会の礎を築き,我が国の外科医療の強化にご貢献された歴代執行部並びに会員の皆様に,心より深い感謝と敬意を表します.
特に調前理事長におかれましては,喫緊の課題であった「本学会会員減少」に対する抜本的な対策を力強く推進され,2026年診療報酬改定における成果をはじめとする多くの実りある実績を残されました.また,第5代北川雄光理事長時代に採択され,調前理事長のもとで推進されてきた「函館宣言」に基づく男女共同参画や修練機会の均等化につきましても,着実な成果が挙げられております.私はこれらの価値ある歩みを確実に継承し,さらに大きく発展させていく所存です.
今日,がん医療におけるゲノム医療の進展やロボット支援手術などの新規技術導入により,消化器外科はまさに飛躍的な高度化と精密化の渦中にあります.本学会は,基盤学会である日本外科学会ならびに各専門学会を密接につなぐ最大のサブスペシャルティ学会として,世界水準の高度先進医療の開発から社会実装に至るまでを自ら牽引してまいりました.
特に,第2代杉原健一理事長の下,本学会が日本外科学会や外科系関連諸学会と連携して創設したNational Clinical Database(NCD)は,現在独立した機構として外科系専門医制度の根幹を支えるとともに,医療の質向上と学術研究に大きく寄与しております.この貴重なビッグデータ基盤を将来の外科医療の指針としてさらに活用し,世界に誇る新たなエビデンスを創出し続けてまいります.
そして,この強固なデータと高度な臨床力を糧に,我が国の誇る手術手技と臨床研究成果を力強く世界へ発信するとともに,海外の先端技術を取り入れ国際協働を推し進めます.その駆動軸となる英文機関誌『Annals of Gastroenterological Surgery(AGSurg)』の活性化を一層図り,世界中の外科医や研究者が集う国際的な学術プラットフォームへの深化を果たしてまいる所存です.
我が国が直面する急激な人口減少と超高齢化のなかで,消化器外科医療の持続可能性をいかに確保するかは喫緊の課題です.高度急性期医療の集約化が進む一方で,地域医療や中小病院を支える消化器外科医およびジェネラリストの存在なくして,我が国の医療体系は成り立ちません.
消化器外科医が果たすべき役割は,高度な外科手術にとどまらず,日常的な消化器診療から内視鏡検査・治療,がん化学療法,救急対応,さらには終末期医療に至るまで多岐にわたり,病院幹部として地域医療経営そのものの重責を担う先生方も少なくありません.これまでの取り組みを継承しつつ,今回の診療報酬改定においてもなお光の届きにくかった地域医療や多様な診療領域,そして現場で粘り強く患者さんと向き合う外科医の努力にしっかりと光を当て,全国どの地域においても安心・安全な外科医療が提供できる体制づくりを推進してまいります.
また,次代を担う若手や女性をはじめとするすべての会員が持てる力をいかんなく発揮できるよう,修練および就労環境の整備を進めます.互いの多様な生き方や価値観を尊重し合い,誰もが不当な壁や圧迫感を覚えることなく,心身ともに安心して高め合える風通しの良い組織文化を盤石なものとしてまいります.
消化器外科は,自らの手で患者さんの生命と人生を直接支え,大きな成果と深い喜びを実感できる「やりがい」に満ちた領域です.私たちは,すべての消化器外科医が誇りと情熱を持って生涯研鑽を重ねられる環境を守り育て,将来の消化器外科医療,ひいては我が国の医療全体の未来を確固たるものとして守り抜いてまいる所存です.
会員の皆様の声なき声にも深く耳を傾け,一人ひとりの思いに応えるべく全身全霊で努力してまいります.皆様の変わらぬご支援とご指導を賜りますよう,心よりお願い申し上げます.

(2026年8月)

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