大腸の病気
大腸がん(結腸がん,直腸がん) 腸閉塞 難治性,治療に反応しない炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病) |
大腸がん
結腸がん:結腸切除術(結腸半側切除術,結腸部分切除術,S状結腸切除術)
がんの位置より約10cm離して腸管を切除するとともに,腫瘍を栄養している血管に沿って認めるリンパ節も同時に切除します.リンパ節を切除する範囲はがんの進行度により変わります.再建法は手縫いによる吻合,器械吻合がありそれぞれの切除部位に応じて行われます.
結腸右半切除術
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結腸部分切除術
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横行結腸切除術
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S状結腸切除術
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直腸がん:直腸切除術,直腸切断術
直腸では,がんのできた位置により2種類の手術法が選択されます.一つは自然肛門を温存した直腸切除術(括約筋温存手術),もう一つは肛門および括約筋も切除してしまう直腸切断術です.前者の場合には腫瘍より約2~3cm離して直腸を離断し吻合を行います.器械吻合が行われることがほとんどです.後者の場合は自然肛門は失われてしまいますので,ストーマ(人工肛門)の造設が必要となります.
直腸切除術(括約筋温存手術)
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直腸切断術
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自然肛門は失われてしまいますので,ストーマ(人工肛門)の造設が必要となります. ※画像をクリックすると大きくなります.
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腸閉塞:癒着剥離術,バイパス術
腸閉塞の治療は胃管チューブやイレウスチューブ挿入による減圧療法などの内科的治療が基本となりますが,内科的治療により改善しない場合には外科的治療が選択されます.腸閉塞の原因は過去に受けた手術が原因となるものが多く,それ以外には腫瘍による浸潤によって起こる場合があります.前者の場合には癒着剥離術が基本となります.後者の場合には浸潤している部分を迂回させるバイパス手術が行われます.
難治性,治療に反応しない炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎:大腸全摘術+小腸嚢・肛門吻合術
内科的治療に不応性であるような潰瘍性大腸炎に対し,大腸(結腸および直腸)をすべて切除し,小腸で便を貯める嚢(ふくろ)を作製,肛門と吻合します.最近は医療の進歩により腹腔鏡を用いた手術が行われることが多くなっています.施設によっては吻合した部分が安定するまで,一時的に小腸ストーマを作製する場合があります.
クローン病:(狭窄に対して)腸管部分切除術,バイパス術
内科的治療によって狭窄症状が改善しない場合には,狭窄部分を切除あるいはバイパス術を行います.クローン病は難治性であり,病巣が腸管全域にわたっているため,病変部のみを改善する手術法が選択されます.