日本消化器外科学会

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福島県立大野病院事件の福島地方裁判所の判決に対する声明


福島県立大野病院事件の福島地方裁判所の判決に対する声明

 はじめに,日本消化器外科学会は,お亡くなりになられた患者様とご遺族の方々に,心からの哀悼の意を捧げます.
 今回の事件は,厳しい医療環境の中で,きわめてまれで重篤な疾患に対して最善かつ適切な治療を行うべく最大の努力を行ったにもかかわらず,死亡という重大な結果になったことについて,個人の過失と医師法違反の有無を問うものでした.
 これに対して,このたびの無罪判決では,積み重ねられてきた臨床経験に基づく適切な治療を行った場合は,その結果が思いがけず不幸なことになった場合でもその医師個人の過失を問うことはできず,また,医師法第21条違反とはならないという点において妥当な判決であります.
 すべての医療行為は,大小の違いはあるものの常に身体に対する危険性を伴っており,その危険性と治療効果のバランスを考えて,最適と考えられる治療を選択しなければなりません.もし判決が有罪とされていたならば,医師が自らの立場を危うくしかねない医療行為を避ける方向に進み,最適と考えられる医療が行われなくなることが予測されます.
 この判決により,常に生命や身体に対する危険性を伴う治療を行っている消化器外科医を含む外科系の医師達が,最適の治療を選択する前にまず危険を回避する医療(萎縮医療)へ進むことに対する歯止めがかかり,国民のすべてが適切な医療を受けられるようになることを期待します.
 もとより,日本消化器外科学会は,さらなる医学・医療の進歩のため,そして医療事故を最大限少なくすべく努力を重ねるとともに,関係各位との連携と協力を得ながら,医療事故の再発防止のための体制の確立を目指して活動していくことをここに表明します.
 最後に,今回の逮捕・起訴によって引き起こされた医療現場の混乱を沈静化し収束させるためにも,検察庁が控訴しない判断をすることを強く要請します.

平成20年8月21日

有限責任中間法人日本消化器外科学会
理事長 杉原 健一